拙著『戦国武将、虚像と実像』の紹介

先日、角川新書から拙著『戦国武将、虚像と実像』を発表させていただきました。

試し読み で読めます「はじめに」から分かりますように、日本における排外主義的・歴史修正主義的な言説の広がりに対して私は前々から憂慮しておりました。歴史学界の権威主義実証主義マウンティングによって歴史修正主義を叩く、という手法が通用しないことは現実が証明しています。

歴史修正主義的な言説は、歴史的事実の捏造・歪曲や史料的根拠のない奇説・珍説に支えられています。これは、提唱者が独自に想像を巡らせ妄想を書き連ねているように見えますが、実は、その内容は江戸時代の講談・軍記物に影響を受けていたり、徳富蘇峰司馬遼太郎の焼き直しだったりします。「根拠は弱いかもしれないが、斬新で独創的で面白い」と一般読者が思う「新説」「逆説」は、実証性どころかオリジナリティすら欠いていることが少なくありません。

本書の狙いは、史実ではない「虚像」「小説」がどのように形成され、人口に膾炙していったのかを解明することです。

 

歴史修正主義を克服するには、どのようなアプローチが有効なのか。本書は、以上の問題意識に基づく、私なりの中間報告です。私を「歴史修正主義者」であると思っている方にも、ぜひご一読いただき、その上でご判断いただければ幸いに存じ上げます。

 

gendai.ismedia.jp

拙著ダイジェスト

 

kadobun.jp

安田峰俊氏による書評

戦国武将、虚像と実像