シラス番組開設見送りについて②

昨年のツイッター事件以来、社会的に孤立した立場にあった私にとって、ゲンロン・シラスは、貴重な活動の場でした。東浩紀氏をはじめ、スタッフ・関係者の皆様のご助力には、今でも感謝しており、恩義に感じています。
今回、チャンネル開設の話をいただいた時は少しでも恩返しができると思いました。配信の準備の過程で、ゲンロン・シラスのスタッフの方にはたいへんお世話になりました。にもかかわらず、チャンネル開設が実現しなかったことは、私としては極めて残念です。プラットフォーム運営会社としての決定に対し私から法的に争うつもりはございません。


しかしながら私に名誉毀損の発言があったかのような誤解が広まりますと、私の発言が読めず、第三者からは検証不能な状況であるだけに、非常に困ります。この問題に関するゲンロン側の主張につきましては、東浩紀氏が情報を補足されておりますので、そちらもご参照ください。

東浩紀 Hiroki Azuma on Twitter: "こちらについて誤解ないように追記します。 ぼくが女性差別をしていると発言したのは別の方であり、呉座さんではありません。呉座さん自身がぼくの名誉を毀損したわけではありません。そちらは誤解なきようよろしくお願いいたします。" / Twitter

私の一視聴者としてのコメントが、深刻なトラブルを引き起こしてしまったことに驚いております。軽率なコメントについては重ねてお詫び申し上げます。複数の訴訟を抱え、心療内科への通院が続く中、チャンネル開設の中止という決定に激しく動揺し、皆様をお騒がせしてしまいましたが、今は残念な結果として受け入れております。ただ、事態の沈静化を望む以外のことは考えておりません。
皆様におかれましても、対立を無闇に煽りたてるようなことはないよう、何卒よろしくお願いいたします。

シラス番組開設見送りについて

【6/15 20時半追記:続きの記事をエントリーしました⇒シラス番組開設見送りについて② - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)

【6/15 16時半追記:ネット上では「これだけのことで開設見送りになるはずがない。呉座には他に余罪があるのではないか」という憶測が流れているようですが、少なくとも面談で公式に指摘された問題点は以下の事項だけです。根拠のない噂を流すことは御控えください。】

 

放送プラットフォーム「シラス」に6月16日に「呉座勇一のワイワイ日本史チャンネル」を開設予定でしたが、中止となりました。

 

昨晩行われました上田洋子氏、東浩紀氏らを交えたzoomでの5分間の面談によれば、

先日、シラスのある番組で、配信者が東浩紀氏の言動を辛辣に批判した際、私がそれに同調するかのようなコメントを投稿したことで、私への信頼が失われ、一緒に仕事をしていくことはできないとゲンロンとして判断したとのことです。

 

私の軽率なコメントでご迷惑をおかけしたゲンロン・シラスの関係者の皆様、配信者の方に深くお詫び申し上げます。また私の番組を楽しみにしてくださっていた方々にも申し訳なく思っております。

 

今後も別の方法で自分の学問的知見を社会に発信していければと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

新世紀ユニオン委員長ブログ記事「私が機構・日文研との話し合い解決にこだわる理由!」につきまして

[6/3追記]文面を一部修正いたしました。

 

私が所属する新世紀ユニオン委員長のブログにおいて、私や国際日本文化研究センター(以下、日文研と略します)などに対する脅迫行為が日文研内部の人間によるものだとの推測が述べられています

私は新世紀ユニオンの組合員であり、ユニオンは組合員である私の権利を擁護するために、日文研の設置団体である人間文化研究機構(以下、機構)と団体交渉をしています。上記推測は、ユニオン委員長の個人的見解であり、私がこの推測を共有しているわけではありません。

 

しかし、当時、私や私の家族、日文研、機構、私の母校などに対して犯罪行為である脅迫が繰り返されていたことは事実であり、その証拠は新世紀ユニオンのブログで公開されています。そして、日文研は、令和3年3月23日には、その一部について愛宕警察署に被害届を提出する予定であると、私にメールで伝えていました。私は、当然、これら脅迫行為について、日文研は被害届を提出し、告訴するなどの適宜の措置を取り、捜査が継続されているものと理解していました。

 

ところが、令和4年2月16日の団体交渉で、機構から、警察に相談しているが、被害届の提出や告訴はしていないとの回答がなされました。さらに、機構は、警察が立件していないので、刑事事件ではないとまで言っており(録音テープあり。なお言うまでもありませんが、警察が立件しなかったのは、機構・日文研が被害届提出や告訴をしなかったためです)、非常に驚きました。機構が告訴しなかった理由については、その後もユニオンが機構に質問状を出して問いただしておりますが、いまだ具体的な回答は得られていません。

この刑事事件の放置は、官吏・公吏の告発義務(刑事訴訟法239条2項)に違反するのではないかと思いますし、自らが招いたこととはいえ、被害者として忸怩たるものがあります。また、脅迫の標的は、私だけではなく、私の家族や機構の職員、さらに全く関係のない第三者などにも及んでいるのです。

犯人が誰なのかは、捜査の進展を待つしかないのですが、機構・日文研が刑事事件を放置し続けている怠慢は全く理解できません。機構・日文研は刑事事件を放置している理由を公に説明するべきだと思います。

 

当時、脅迫行為だけでなく、多数の抗議の電話・メールが日文研の事務を麻痺させ、私の不適切発言への抗議を目的として発行直前の日文研学術雑誌への寄稿を取り下げると国立大学の教員(後にオープンレター差出人に加わる)が公言し(最終的には掲載)、さらに、日本歴史学協会(以下、日歴協)の声明、オープンレターの公開という様々な形で、一連の抗議活動が日文研に対してなされました。これらの一連の抗議活動が、機構・日文研に強烈な圧力として働き、私の処分に影響したことは間違いないと、私は考えております。

これらの抗議活動は、私の不適切な発言に端を発したものではあります。けれども、事実を重んじるべき学術関係者や学術団体が公表した文書でありながら、日歴協声明とオープンレターの記載に虚偽の記載があるように(この点は争いがあり、2件の名誉毀損訴訟が係属していますが、日歴協もオープンレター差出人も「意見論評であり、事実は書いていないのだから法的に問題ない」というのが主要な主張です)、明らかに行き過ぎた抗議活動が強力に展開されました。その中で、誰が見ても明白な犯罪行為が繰り返されたにもかかわらず、機構・日文研が当然の対応を怠ったことは、学問の自由の擁護という観点からも残念なことだと考えています。

拙著インタビュー記事が載りました

拙著『戦国武将、虚像と実像』に関するインタビュー記事が『沖縄タイムス』に載りました(共同通信配信)。ありがとうございます。

 

[新著の余録]■戦国武将、虚像と実像 呉座勇一さん 歴史の「悪用」を突く | 沖縄タイムス紙面掲載記事 | 沖縄タイムス+プラス

拙著重版および刊行記念セミナーのお知らせ

【発売即3万部突破】呉座勇一氏新刊『戦国武将、虚像と実像』発売一週間で3万部突破刊行記念セミナーも5月27日に開催決定|株式会社KADOKAWAのプレスリリース (prtimes.jp)

 

よろしくお願い申し上げます。

オープンレター差出人からの10万円の支払いについて

昨日、5月13日にオープンレター差出人の一部との債務不存在確認訴訟(令和四年ワ4634)の第1回期日が行われました。その際、裁判所から、私がオープンレター差出人の一人から10万円の支払いを受けたことについて言及がありました。この情報を受けて、誰が10万円を支払ったのかがTwitter上で話題になっています。

私としましては、訴訟になっておらず、かつ和解が未成立のオープンレターの差出人4名との合理的な紛争解決に向けて努力を継続していく予定です。「誰が謝罪したのか」といった詮索や憶測は今後の和解を阻害する恐れがございますので、お控えいただければ幸いです。

拙著『戦国武将、虚像と実像』の紹介

先日、角川新書から拙著『戦国武将、虚像と実像』を発表させていただきました。

試し読み で読めます「はじめに」から分かりますように、日本における排外主義的・歴史修正主義的な言説の広がりに対して私は前々から憂慮しておりました。歴史学界の権威主義実証主義マウンティングによって歴史修正主義を叩く、という手法が通用しないことは現実が証明しています。

歴史修正主義的な言説は、歴史的事実の捏造・歪曲や史料的根拠のない奇説・珍説に支えられています。これは、提唱者が独自に想像を巡らせ妄想を書き連ねているように見えますが、実は、その内容は江戸時代の講談・軍記物に影響を受けていたり、徳富蘇峰司馬遼太郎の焼き直しだったりします。「根拠は弱いかもしれないが、斬新で独創的で面白い」と一般読者が思う「新説」「逆説」は、実証性どころかオリジナリティすら欠いていることが少なくありません。

本書の狙いは、史実ではない「虚像」「小説」がどのように形成され、人口に膾炙していったのかを解明することです。

 

歴史修正主義を克服するには、どのようなアプローチが有効なのか。本書は、以上の問題意識に基づく、私なりの中間報告です。私を「歴史修正主義者」であると思っている方にも、ぜひご一読いただき、その上でご判断いただければ幸いに存じ上げます。

 

gendai.ismedia.jp

拙著ダイジェスト

 

kadobun.jp

安田峰俊氏による書評

戦国武将、虚像と実像