訴訟について

各種報道にございます通り、人間文化研究機構を相手取り、テニュア准教授の地位確認を求める訴訟を提起致しました。追って停職処分の無効についても提訴する予定です。

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私のツイッター上での一連の不適切発言を正当化する意図はなく、あくまで労働問題として位置付けております。そもそも人間文化研究機構の内規には、テニュア審査を経てテニュア付与を決定した後にこれを「再審査」によって取り消す規定は存在しません。加えて、テニュア審査は学術的な評価基準に基づいて行われており、職務と関係のない私的な発言を理由に「再審査」し取り消すことは、事実上の懲戒処分であり、停職処分と合わせると同一理由に基づく二重処分となります。テニュア付与の取り消しは事実上の解雇であり、解雇権の濫用と認識しております。

 

「反省していない」という批判を受けるであろうことに思いをめぐらし、裁判をするかどうか深く悩みました。しかしながら、テニュアトラック制が政策的に推進され、若手研究者が最初からテニュア研究職に就くことが困難な現状に鑑みますと、いったんテニュア付与を認めたにもかかわらず恣意的にこれを撤回することが可能という前例ができてしまうことは、現在テニュアトラック期間中の研究者や求職中の後進に深刻な悪影響を与えます。世間の非難を避けるという保身のために、ただでさえ立場が不安定な若手研究者の研究環境をこれ以上悪化させることは、私の望むところではございません。

 

私の軽率な言動により、多くの方の心を傷つけ、関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけ致しましたことを改めてお詫び申し上げます。せめて本訴訟を通じて、テニュアトラック制の透明性を明確にすることで、僅かながらでも償いになればと願っております。