『歴史評論』編集部に対する公開質問状

歴史評論』編集部御中

 

 

呉座勇一です。

貴誌『歴史評論』2022年10月号に杉浦鈴氏の論考「多声的な歴史叙述のために――フィクション・フェミニズム・日本中世史」が掲載されました。

 

同稿では、私のツイッターでの不適切発言と、私の北村紗衣氏への謝罪・同氏と私との和解、私を非難する日本歴史学協会声明・オープンレター、それらに対して私が提起した名誉毀損訴訟について言及されています。これらの事実関係につきましては特に異論はございません。

 

しかしながら、「所属する国際日本文化研究センターによる懲戒処分を受けた」という記述には違和感を持ちます。

 

第一に、私に対する懲戒権を持つのは国際日本文化研究センターではなく、その上部機関である人間文化研究機構です。このことは人間文化研究機構の公式サイトにおいて公表されてもいます。

www.nihu.jp

資料確認の疎かな不正確な記述であると言えますが、かかる論文の貴誌への掲載を決定された理由をお教えください。

 

第二に、私は、ツイッターでの不適切発言を理由としたテニュア取り消しおよび懲戒処分を不当と考え、人間文化研究機構を相手取って地位確認等訴訟および懲戒処分無効確認訴訟を京都地方裁判所に提起しております(令和3年(ワ)第2712号 地位確認等請求事件および令和3年(ワ)第3080号 懲戒処分無効確認請求事件)。このことは報道されており、杉浦氏および貴誌編集委員が知らなかったとは考えられません(仮に知らなかったのであれば、致命的な資料の確認不足です)。私が提訴した事実を省き、あたかも懲戒処分が確定したかのように記すのは、誤解を招く不正確な表現と言わざるを得ません。

www.kyoto-np.co.jp

もし著者である杉浦氏が意図的に記述せず、貴誌編集会議もそれを是としたのであれば印象操作という批判を免れ得るものではないと考えますが、貴誌編集部がかかる論文の掲載を許可した理由をお教えください。

 

付け加えて申し上げるならば、学術雑誌『歴史評論』を発行している歴史科学協議会は、私の名誉毀損訴訟(令和4年(ワ)第883号 名誉回復及び損害賠償請求事件)の相手方である日本歴史学協会の有力な加盟学会です。この裁判に関して歴史科学協議会は客観中立ではあり得ませんが、杉浦氏の論考でこの点に関する言及はありません。

 

事実関係の正確な把握、客観的で公正な評価を重視する歴史学の権威ある学術雑誌である『歴史評論』において、何故このような不正確で不公正な論考が掲載されるに至ったか、公式の説明を求めます。

 

以上の質問に対し、貴誌奥付に記されている編集長の宮瀧交二氏以外の全ての編集委員の氏名を明らかにした上で、令和4年9月末日までに、誠実な回答を求めます。

回答先は、下記に記載されております私のメールアドレスまでお願いいたします。

御座候さんのプロフィール - はてな (hatena.ne.jp)

 

 

(9月19日19時20分追記)『歴史評論』編集長の宮瀧交二氏はオープンレターの署名者であるという指摘がネット上に寄せられました。