債務不存在確認訴訟についてのお知らせ

(※文末に追記しました)

私、呉座勇一は、代理人弁護士を通じて、2022年2月17日にオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」差出人16名及び元差出人に対し、公開された連絡先メールに通知書を送付しました。
通知書では、オープンレターが虚偽の事実を公然摘示した名誉毀損であることを指摘し、削除・謝罪及び損害賠償100万円の支払い請求すると共に、オープンレターの記載が私のいかなる具体的発言を指しているのかを照会しました。

上記照会は2月22日を回答期限と指定していましたが、一部の差出人を除き何ら反応がなかったため、本日、書面を送付し対応を促しました。すると、差出人のうち15名の代理人からファクシミリで、東京地方裁判所に債務不存在確認訴訟を提起した旨の連絡があり、その後、差出人のうち11名が訴訟を提起したとの「お知らせ」が公開されました。


私としては、オープンレター差出人の少なくとも一部は、名誉毀損であることを認めず、訴訟で争うことになる可能性が高いと想定しておりました。差出人の一部が当方と対話することさえなく債務不存在確認訴訟を提起しましたが、必要があれば司法の公正な判断を仰ぎ、名誉毀損状態を回復していく予定に変更はなく、粛々と対応していきます。

なお、上記「お知らせ」には、「差出人・賛同人に対して繰り返されている謂れのない中傷がこのような動きを引き起こし」と記載してありますが、事実ではありません。私は、自分の判断として差出人等への請求を決意しましたし、その原因は「謂われのない中傷」ではなく、オープンレターに虚偽が記載されていることです。私の人格と権利行使を貶める記載には、残念としか言いようがありません。

 

本件以外の名誉毀損への対応については、後日、発表すべき事項がございましたらお知らせする予定です。

 

(※2月27日追記)訴状を確認しましたが、「お知らせ」に名前を連ねている11人と、元差出人の礪波亜紀氏の計12人が原告です。

はてな運営の説明に対して

前回のブログ一連の凍結・削除・非公開・再公開などにつきまして - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)で、削除についてはてな運営から説明がある見込みと書きましたが、説明が出ました。

送信防止措置およびその経緯に係る情報開示に対する制約 - Hatena Policies

しかし、この説明を読んでも、
一体何のことだか、理解できる人はいないでしょう。

 

私の方で時系列で簡単に経緯をまとめると、以下の通りです。

1/13 「番組出演のご案内」を公開する。北村紗衣氏代理人(水田弁護士、谷村弁護士)の通知書を引用した。
1/14 谷村弁護士個人の削除申立てを受けて、はてな運営から意見照会のメールが私に届く(著作権著作者人格権によるもので、プライバシー違反の指摘はない)。ただしゲンロン出演の反動で鬱状態だった私は数日間メールチェックを怠っており、意見照会のメールが来ていたことに気づかなかった。
1/24 意見照会期限を過ぎたためブログ凍結。凍結によりメールに気づいた私は当該記事を削除し、同様の著作権違反を行わないことを誓約して、ブログを再公開する。
1/25 凍結につきまして - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)で経緯を説明する。
1/26 はてな運営から公開停止を要請するメール(※)が届く。凍結を避けるため、やむなく公開を停止する。
2/4 公開を再開する。


※の公開停止要請は、
1/14の意見照会メールに書かれた「要請」に違反したことを
理由とするものでした。
メールに書かれた「要請」は、以下の通りです。

----------------------------
本メールには一般に広く公開されていない事実が含まれております。
申立の内容および申立を受けた事実について開示を行うことは、
プライバシー侵害や名誉毀損等、権利侵害に相当する場合があります。
みだりに転載を行わないようお願いします。
また、転載を要する場合は、弊社まで事前にご確認ください。
----------------------------

前半の「プライバシー侵害や名誉毀損等、
権利侵害に相当する場合があります」という注意については、
本件の場合に権利侵害はないと私は判断しました。

後半2行は、「転載」を制限するものですが、
ブログ記事ではメールの内容を要約しただけで、転載はしていません。

 

このように、
私のブログ記事公開は、はてな運営の要請に
違反するものではありませんでしたが、
はてな運営はこれを要請違反と判断して、
一方的に公開停止を通達してきました。

 

公開停止に従わない場合は、
ブログ凍結(今度は再開不可)があり得るとされており、
私は従わざるを得ませんでした。
(その後、はてな運営とメールのやり取りをして、
はてな運営の公開停止の理由を確認しました。
要請違反はないこと、北村氏が困惑していることを
はてな運営に指摘して、公開再開に至りました。)

 

この公開停止要請は、はてな運営の「勇み足」にすぎず、
北村氏や代理人の申立てによるものではないそうです。
しかし、特に説明なく私の記事が突然非公開になったので、
ネットでは様々な憶測が流れたようです。

 

知人から教えてもらったところ、
私が記事への反響に驚いて自主的に削除したという説もありましたが、
北村氏が再び言論弾圧をしてブログ公開停止に追い込んだのだろう
という理解が一般的だったようです。

 

北村氏が、拙記事凍結につきまして - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)について、
プライバシー違反などの権利侵害がないにもかかわらず、
ブログの削除を要求するという恥ずべき言論弾圧を行った
という風評は、事実に基づかない誤解でした。


はてな運営は、私が要請に違反しておらず、
北村氏や代理人が削除申し立てをしていないにもかかわらず、
規約に基づかない独自の判断でブログ記事を公開停止させました。

このはてな運営の一方的な措置は、北村氏の名誉を害し、
氏に多大なる迷惑をかけたものと考えます。
これは私にとっても不本意な結果でした。

 

私は、はてな運営に対し、
自らの誤った判断でこのような混乱を招いたのだから、
私はさておくとしても、
北村氏に対しては謝罪すべきだと再三申し入れました。

 

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はてな運営へのメール

はてな運営の説明文は、誰が読んでも理解困難なものでしたし、
北村氏や私に対する謝罪の言葉もありませんでした。
このことを遺憾に思います。

一連の凍結・削除・非公開・再公開などにつきまして

(2/4追記:はてな運営から説明が発表されました 

送信防止措置およびその経緯に係る情報開示に対する制約 - Hatena Policies

 

本件経緯につきましては、

ネット上で事実誤認や誹謗中傷が広がっている状況を考慮して、

週明けに、はてな運営から経緯説明があるとのことです。

 

なお、はてな運営の一連の対応につきましては、

個人的に疑問に思う部分もございますので、

はてな運営の説明を見た上で、

当方の見解も述べたいと思っております。

凍結につきまして

(1/28追記:当記事は、はてな運営からプライバシー侵害の疑いで公開停止要請が出され、一時非公開としていました。当記事が非公開になったことに北村紗衣氏が困惑していると知人から教えてもらい、その旨をはてな運営に伝えたところ公開許可となりました。皆様にはご心配をおかけ致しました)

 

本ブログが一時凍結致しまして、皆様にはご心配をおかけ致しました。

ブログの凍結と一部ブログ記事の削除は、北村紗衣氏の代理人である谷村紀代子弁護士の申請によるものです。記事公開の理由、凍結・削除に至る経緯については追ってご説明致します。

 

記事の削除が遅れましたのは、メールチェックを怠っていたこと、最近在宅勤務が続いて久々に出勤したことによるもので、意図的に遅延したわけではございません。

 

なお、谷村氏からは別途、書面協議の要請が出ておりますが、北村氏との紛争については和解で解決しておりますので、今は代理人等はどなたも立てておりません。私は現在に至るまで和解条項を遵守しており、和解後に自分の手で弁護士と書面のやりとりをするのは精神的負担です。現在、心療内科に通院している状況であり、弁護士からいきなり書面を送られることじたい恐怖を感じます。人間文化研究機構との訴訟で精神的に疲弊している中、不必要な書面送付はお控えいただくよう、谷村氏には伏してお願い申し上げます。

 

また、裁判に影響しかねませんから、弁護士名での日文研への書面送付もお控えいただければ幸いに存じ上げます。

 

小説家佐藤亜紀氏の私に対する誹謗中傷について

著名な小説家である佐藤亜紀氏の上記のツイートがネット上で話題になっております。

 

このツイートは社会通念上許容される限度を超えた侮辱であり、ツイートの削除はもとより、謝罪文の公表を求めます。

今後につきましては、弁護士に相談し、プライオリティを考えつつ適宜対応します。

訴訟について

各種報道にございます通り、人間文化研究機構を相手取り、テニュア准教授の地位確認を求める訴訟を提起致しました。追って停職処分の無効についても提訴する予定です。

www.sankei.com


私のツイッター上での一連の不適切発言を正当化する意図はなく、あくまで労働問題として位置付けております。そもそも人間文化研究機構の内規には、テニュア審査を経てテニュア付与を決定した後にこれを「再審査」によって取り消す規定は存在しません。加えて、テニュア審査は学術的な評価基準に基づいて行われており、職務と関係のない私的な発言を理由に「再審査」し取り消すことは、事実上の懲戒処分であり、停職処分と合わせると同一理由に基づく二重処分となります。テニュア付与の取り消しは事実上の解雇であり、解雇権の濫用と認識しております。

 

「反省していない」という批判を受けるであろうことに思いをめぐらし、裁判をするかどうか深く悩みました。しかしながら、テニュアトラック制が政策的に推進され、若手研究者が最初からテニュア研究職に就くことが困難な現状に鑑みますと、いったんテニュア付与を認めたにもかかわらず恣意的にこれを撤回することが可能という前例ができてしまうことは、現在テニュアトラック期間中の研究者や求職中の後進に深刻な悪影響を与えます。世間の非難を避けるという保身のために、ただでさえ立場が不安定な若手研究者の研究環境をこれ以上悪化させることは、私の望むところではございません。

 

私の軽率な言動により、多くの方の心を傷つけ、関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけ致しましたことを改めてお詫び申し上げます。せめて本訴訟を通じて、テニュアトラック制の透明性を明確にすることで、僅かながらでも償いになればと願っております。